
中邑真輔の新日本プロレス退団が正式に発表された。1月31日をもって契約解除、退団となること、1月中のいくつかの大会に参戦すること、現在保持しているインターコンチネンタル王座は返上となること、1月25日に記者会見を開くことなどが書かれているが、身の振り方についての記述はない。おそらくWWEだろう。
1月4日の東京ドーム大会で、中邑真輔とAJスタイルズのタイトルマッチをみた。日本発世界に通じる試合だと思った(トイレに行っている途中に試合が始まったので、廊下で見ていたのだが)。世界の天才対決だと感じた次第だ。月内の試合はいけそうにないし、チケットも売り切れだったので、私にとって生で、新日本プロレスで見る中邑はあれがいったん最後だったのか。2人の試合の煽り映像をTV放送でみたが、その時にも「世界中でも中邑みたいなレスラーはいない」的な発言を対戦相手のAJがしており。いま思うとニヤリとする内容だった。
中邑真輔という天才が世界に旅立つことについては、私は基本、好意的である。一度しかない人生だ。世界で日本人が活躍していると嬉しい。
ただ、これはプロレスビジネスのグローバル競争が本格的に開戦したということだとも私は捉えている。円満な移籍だと信じたいし、ヨシ・タツのように新日本プロレス出身でWWEで活躍し、戻ってきたレスラーもいるので、中邑にしても国内復帰はありうると見ているのだが・・・。
これはWWEの世界戦略が加速していること、そしてそのために、日本人レスラーがどんどん引き抜かれるという競争の始まりだとも言える。
11月に出たこの本にも、そんなことが書かれている。世界のプロレスではWWEが圧倒的に1位だ。売上は年間600〜700億円である。新日本プロレスは世界2位だが、V字回復したとはいえ20億円台だと言われている。最近はチケットも取りづらくなり、プロレス女子なるムーブメントも広がっているが、とはいえ世界的にはこんなに差がある。
この本には、新日本プロレスが加速度的に売上と、結果として選手のギャラをアップさせないと、圧倒的な資金を持っているWWEに選手が引き抜かれる可能性が指摘されている。日本の団体を買うことだって容易だろう。
ちょうど中邑真輔のWWE移籍が噂され始めた1月上旬には日本でもWWEネットワークのサービスがスタートしている。ネット経由で定額見放題のプランだ(新日本プロレスも同様のサービスを始めており、成功しているのだが)。
日本のレスラーは優秀だし、世界屈指のハードな試合が展開されている。スターとして化ける可能性もある。何より、日本でのサービスにおいて、日本人レスラーの活躍を見ることができるのは魅力的なコンテンツなのだ。
今の新日本プロレスは面白い。人気がある。国内最高のリングだと思う、中身も運営も。ただ、選手の待遇、そして遣り甲斐は足りているだろうか。上を目指す者にとって魅力的だろうか。
国内では一人勝ちだが、成長し続けざるを得ない。
まさにグローバル競争、そのものではないか。
以前、この本を書いた時も、成長、挑戦しているようで、実は競争に巻き込まれており、そうせざるを得なくなっている日本企業の様子を描いた。
プロレスだってそうなっているのだ。
世界は才能を求めている(国内でもだけど)。
いつの間にか、人材獲得競争に巻き込まれていないか。人を惹きつけるだけの魅力があるか。プロレスの話のようで、これはビジネスパーソンが自分に問いかけるべき問題なのではないかと思う。
とはいえ、中邑真輔のチャレンジには期待してしまう、プロレスファンとして。
世界でも、滾りまくって、ブルブルしてほしい。
あの叫び声も変えずにやってほしいな。
イヤァオ!

