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読売新聞が
「就職選考6月解禁、来年から前倒し…経団連調整」
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151024-OYT1T50105.html

という記事を公開している。記事を良く読むとわかるように、経団連からの公式の発表ではない。

2016年度採用から、就活時期が見直しになった。この件は2013年の4月に決まったので、それ以降、就活関連のニュースといえば、この話題に関連したものだった。2015年9月には経団連の榊原会長が「見直しもありうる」ことを示唆していた。

この件については、先週、NHKの「視点・論点」に出演し、私の意見を述べさせてもらった。これまでの経緯や論点がよく分かると思うので、よろしければ番組のブログをご覧頂きたい。
視点・論点 「"就活時期見直し"問題の本質」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/230141.html

PRESIDENTに寄稿した記事もわかりやすいと思う
「就活時期の繰り下げ」はなぜ失敗したのか
http://president.jp/articles/-/16312

朝日新聞デジタル版でのインタビューも(このインタビューが載っている件、朝日の1面に出て、びっくりした このちょいワルイケメンの顔が全国に!)
「ネット就活」は限界、リアルへ回帰 常見陽平さん:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASHB83S5HHB8UEHF006.html

要するに私が言いたいことは
・「学修機会の確保」「留学の促進」という目的と、「(今回のスケジュールでの)就活時期繰り下げ」という目的がズレていた。
・今の日本の教育の現状、労働市場を考えると、新卒一括採用はむしろ合理的。就活のプロセスこそ問題。
・採用活動の創意工夫、リアルな接点への回帰、学業のことを聞く動きなど、良い部分もあった。
・政府は447の経済団体にこの件を要請した。経団連「だけ」を批判するのはよくない。
・就活の歴史は時期論争の歴史。もう時期論争は不毛。出会い方を変える工夫をするべき。
ということ。

私は当初から上手くいかないと予想していたが、大手が(形式上は)8月1日を守ったこと、予想以上に中堅・中小がはやくから動いたことは想定とはずれていた。また、良い点もあったのではないかと考えるようになった。経団連に対する態度も変化した。

さて、今後、経団連と政府は、このことをどう正式に発表するのだろう。私はこの件が気になっている。

採用広報期間が実質1ヶ月伸びた上、就活がなかなか終わらなかったこと、混乱に対する早期の対応などは評価できる。

ただ、視点・論点で触れたように
・「学修機会の確保」「留学の促進」という大義名分はどこにいったのか?
→これにたいする丁寧な説明がないと、いかんだろう。ここで「やっぱり大学の勉強など関係ありません」などと言い出したら、それはそれでスゴイが。

また、2017年のスケジュールを信じて留学に出掛けてしまった人、公務員試験や教育実習との掛け持ち計画を考えていた人はどうすればいいのだろう。

リンク先をみて頂きたいが、そもそもルールを設ける難易度は高くなっているが、一方なんらかのルールがないと混乱することも今年、証明されたわけだ。

この国家をあげた茶番劇を経団連と、それをそもそも提案した政府はどう決着をつけるのだろうか。

今週、来週にはあるであろう発表はどうなるのか。

丁寧な説明を希望する。



なお、最新作『エヴァンゲリオン化する社会』でも、就活問題にはふれているので、ぜひご覧頂きたい。

「私の代わりは、いるもの」
ということで。