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島耕作が好きだ。ヤング編含めて、全部持っている。

島耕作の学生編『学生島耕作』の単行本第1巻が発売された。限定版で、ほぼ日手帳がついてくるものも発売された。

当然、通常版より高かったのだが、これはいい感じだ。

まず、『学生島耕作』について。これは素晴らしい、外伝というか、スピンオフというか、そんな感じの作品だ。もともと、ヤング編は2001年から始まっている。

当時、本編は部長編の最終段階だった。いや、部長編はまだ団塊世代のリストラなどの悲哀も描かれており、普通のサラリーマンにも共感できたのだが、とはいえ、その後、取締役→常務取締役→専務取締役→社長→会長と上がっていったわけで。だんだん、雲の上の人の話になっていったように思う。

ヤング編は、普通の等身大のサラリーマンとして共感できる部分があり、またシリーズを読んでいたらニヤリとする部分があり、そこがいい感じだった。もちろん、作品のリリース時期から言うと、後から書いているわけで、元々のストーリーとやや矛盾する部分や、知りたくなかったエピソードもあったわけだが。

『学生島耕作』は、究極のヤング編だと思う。学園紛争の時代の大学生活を覗くことができるのは興味深い。島耕作というキャラが、さらに深みが増しているように思う。私のようなアラフォー読者からするならば、最近の青春マンガ、いやリアルな学生生活からも失われた青臭い青春がそこにはあり。若い読者が共感するかどうかはわからないが、よく出来ているなと思った次第だ。内容的には、20代はわからないが、30代のイブニング読者なら楽しめることだろう。新たなファン開拓にも使えることだろう。

そして、ほぼ日手帳だ。私は、存在を知っていたのだけど、詳しくは知らなかった。意識高い人が使っているなあ、糸井重里ファンが使っているなあ、くらいだったのだが、これ、使いやすそうではないか。ちょっとゆるい作りがいい。

使おうかと思ったが、もったいないので、別途買うことにした。

新たなユーザー開拓につながっている事例だと言えるだろう。もちろん、安くはないので、サンプリングというよりは、限定品商法なのだけど。

以前、会長編の第1巻は人生ゲーム付きの限定版があり、話題になった。もちろん、私は買った。ただ、作りがやや島耕作を揶揄しているというか、「わかっているのかな」と思う部分があり、気になっていたのだ。まだ、ほぼ日手帳とのコラボはデザインも学生編っぽく。ずれていないと思う。

そう、最近、気になるのは、島耕作が世の中から誤解されていること、それはまあ、いいとして、講談社自体が島耕作をやや誤解して使っていないかということだ。いかにも、モテる、成功する、出世するというのは部長編くらいまでで、その後も成功も出世もしているものの、劇的にモテているわけでもない。学生編では、大学までは童貞だったことも明らかになっている。嫉妬ではなく(いや、嫉妬なのだが)古市憲寿氏と、島耕作の対談なる企画があったが、あまりに島耕作が安売りされている感があり、がっかりした。

島耕作を安売りしてはいけないし、これは丁寧に読まないといけない。



このたびは、著者の弘兼憲史さんはデビュー40周年だ。かなり彼の作品は読んだが、まだまだ知らない作品も多数だ。

彼の作品を読むことができる幸せを噛み締めつつ、今日も一歩前に進もうか。

いやあ、よかった。私は『学生島耕作』のほぼ日手帳付きを買うことができて、本当によかった!