人類は麺類であり、何者かと問われると丼ものである
これは、私が大事にしている人生哲学だ。麺類は美味いということだけでなく、その多様性と可能性に注目するべきである。もっと多くの人に、もっと大きな可能性がある社会は素晴らしい社会だと思っている。まあ、そう簡単にいかないし、「多様性」という言葉は時に人を惑わすのだけど。
そんな私にぴったりな本が出た。札幌の出版社、エイチエスが出したこの本だ。
その名も『ラーメンをつくる人の物語 ― 札幌の20人の店主たち』である。
この店は、札幌ラーメン美味い店ガイドとはちょっと違う(掲載されている店は、名店と言われるお店だらけなのだけど)。20人の店主にインタビューし、彼らのラーメンにかける想いをまとめた本なのである。そして、これがまさに、キャリア論なのだ。
閉店という挫折を味わっている者、サラリーマンを辞めたものなど、人生の紆余曲折と試行錯誤が飾りっけのない言葉で描かれている。
個人的に、猛反省したのは、最近の札幌の名店を知らなかったということだ。従来の札幌ラーメンにとらわれず、魚介類スープの店、つけ麺の店など、新しい人気店が出てきている。まあ、年に数回しか帰れないし、健康にも気をつけないといけない年齢なので、何度も食べられない。故に、古くから知っている店中心になってしまう。・・・いつも、福来軒か来々軒か天鳳ね。この新しい取り組みは、古くからの札幌市民からするならば、邪道だという話になるかもしれないが、これはこれで札幌ラーメンの層を広げているのだと私は前向きに解釈している。そういえば、最近は二郎も進出したのだっけ。
好きなこと、というか、果たしたいことを実現するには、これくらいの情熱が必要なんだなと思ったり。
ラーメンの紹介は、いわゆるグルメガイドとは異なり、店主のこだわりの話が中心ではあるが、猛烈にラーメンを食べたくなる本である。
札幌市民だけでなく、全国のラーメンファンに読んで頂きたい一冊だ。
エイチエスさんからは、以前、こんな本を出した。ターゲットしぼりすぎじゃないかというご批判の声もあったし、個人的には反省点を残す本なのだが。とはいえ、こういう地域限定本を出そうという熱って素敵だと思う。貴重な機会に感謝。そう、この本がキッカケで北海道の高校からの講演依頼が増えたのだよね。
数年後、札幌限定本はまたチャレンジしたいなあ。

