
アーティスト:Beck
Geffen Records(1994-03-01)
販売元:Amazon.co.jp
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新春早々、TLでこんなまとめを発見した。池田信夫氏のツイートからだった。
茂木健一郎氏激怒する;「朝生での就職談議」における「学生と企業の不毛さ」
茂木氏の発言の部分を抜粋しよう
目が覚めたら、朝まで生テレビやっていた。日本の就職問題について、「新卒」だとか、「卒業後何年」だとか、現状、ないしはそれを小手先でいじっただけの制度についてしたり顔で言っているやつを見ると、本当に腹が立つ。
だいたい、大学卒業だとか、新卒だとか、そういう「制服」みたいな定規に人を当てはめて、それだけで判断して後は口を拭っているやつは、一人残らずバカだ。つまり、原理原則にかえって考えるという態度が全くできていないんだよな。
日本の風土病の最も深刻な点は、人間が作った奇妙な制度を、そのまま受け入れて、「そんなこと言ったってねえ、チミ、現実はこうなんだよ」と言って何かを説明した気になっている愚鈍なやつらを大量に生み出すことだろう。批判する学生側も、案外そういう制度に囚われている。
大卒だとか、新卒だとか、卒業後何年後とか、そういう「資格」がなければ求人しない企業は、それだけでもう原理原則に戻って考える能力がないとdisるしかない。国が法律作って、性別、年齢、学歴などの外形的基準で「入り口」で拒絶することを違法としちまえばいいんだよ。
企業の人事担当者が、「学歴」だとか、「新卒」だとか、そういう外形的な基準ではとらえきれない非典型的な人材を選別できないのは、単に無能力なだけだろう。自分たちの無能力を、「日本では終身雇用が前提で・・」などというくだらない理屈で正当化するな!
就職コンサルタントだか、就職支援だか知らないが、そういう仕事をしている人たちが、「君ねえ、日本の就職というものはねえ」とマッチポンプにしたり顔で説明するのを見ているのも腹が立つ。何らの普遍的原理もねえくせに、現状を肯定するだけのためにくだらねえ理屈を作るな!
腹が立ったから、オレはもう寝るぞ。じゃあな。
最後に。猪子が言っていたけどさ、日本の「立派な」企業が就活についてクソなポリシーをやっているんだったら、上等だから、「脱藩」組でオルタナティヴな経済活動を起こして、そっちを大きくしちまえばいいんだよ。背広着てもっともらしいことを言っているやつらのパイが小さくなればいいんだ。
そうか、またきたか。新春早々、複雑な心境になってしまった。いや、茂木健一郎氏の就活関連のツイートは読むたびに複雑な心境になる。この人は、熱い人で、悪い人じゃないと思うのだ。世の中をなんとか変えたいという正義感の強い人だと思う。私が茂木健一郎氏を嫌いになれないのは、その根底に「不器用な正義感」が感じられることである。そして、まさに私もそんなタイプの人間だ。
茂木健一郎氏がお怒りの朝まで生テレビを恥ずかしながら見ていない前提で書くことにする。
うん、茂木健一郎氏の一連の新卒一括採用批判ツイートは、誰もが抱いている日本の雇用に対する気持ち悪さを代弁していると思うのだな。
最近思うのは、新卒一括採用だけを議論してもしょうがなく、日本の働き方、もっと言うと企業経営のあり方が問われているのかな。企業経営は横並びそのものである。そこから飛び抜けた企業が目立っているわけだが。
なんども言うように、新卒一括採用は制度ではなく、慣行なのだよな。そのメリットを納得した上で行っている企業とそうではない企業はある。
「日本の大企業の多く」を前提とした慣行であり、中堅・中小企業はそうとは限らない。そして、新卒一括採用を行っている企業でも、水面下で既卒者を未経験者枠で採用していたりはする。
「終身雇用、年功序列が崩壊する中、新卒一括採用は経済的合理性がない」という議論があるが、実は合理性はある。拙著でも紹介したが、採用にかかるコスト、及び「優秀」な人材と出会える可能性は高い。人材の能力はパレート化する中、新卒の方が優秀な人材と効率的に安く出会えるのである。いかにも実力主義そうで、前例にとらわれなそうなベンチャー企業や、外資系企業の一部がむしろ新卒採用重視にシフトしているのは注目すべき事実だろう。
もちろん、「新卒」だとか、「有名大学卒」という杓子定規の評価をするのは問題だと感じる。多様な人材を活かし、評価するべきであることは正論であり、まったく反対しない。
ただ、この正論は現実には機能しない。
就職ナビなどにより、採用が肥大化する中、効率化は推進される。また、新卒一括採用にこだわっていない企業も知っているが、採用されるのは一部の変わり者もいつつも、普通に新卒一括採用のルートで採用されたであろう人とは変わらない。
また、日本の採用現場で起こっている問題は、「求める人物像の膨張」「採用の肥大化」である。求める人材の「神様スペック化」は一部の企業では妄想の域になっている。また、採用の肥大化はもはや収拾がつかなくなっている。選考は本来、「裁判」ではないのだが、まるで「裁判」であるかのような厳格さになっている。選考は企業の魅力を伝える場でもあり、応募者を口説く場であることも忘れてはならない。だから、欲しい学生に逃げられるのである。
後日、某ビジネス誌で書くが、新卒一括採用云々ではなく、企業との出会い方、確かめ合い方、育て方を変えなくれば問題は解決しない。
そして、「起業家タイプ(笑)」「イノベーティブな人材」「グローバル人材」などを採ろうとしたところで、選考の際に適切な評価ができないこと、彼らにとっての働く場としての魅力を提供できないこと、そして使いこなせないこと(って、こういう言い方をしたくないが)から結局、採用できない、定着しないのも課題である。
現在、新卒一括採用を突き崩す黒船として外国人採用が注目されている。彼らが日本人の雇用を奪うのではないか、とはいえグローバル化には必須ではないかと議論されている。日本企業がここに力を入れているのは間違いない。5年後には日本の採用は実に多様化している可能性はある。
ただし、入り口の部分を変えても意味がないことが今、水面下で問題になっている。外国人のマネジメントをどうするか?実はこの部分で問題が多発している。また、外国人採用はIR活動の側面もあることを頭に入れておきたい(外国人採用の現実については、もろもろ取材や調査を実施中なのでアウトプットをお楽しみに)。
『異質のマネジメント』(竹内弘高・石倉洋子 ダイヤモンド社)という本がある。1994年に発売された本だ。実に16年前の本である。要するに日本企業は「異なる存在」をマネジメントできないということがまとめられたリサーチなのだが、16年経った今もこの壁を乗り越えられていないと思う。
そもそも、日本企業にとっての「異質」とはまだまだ「女性」であり、「外国人」である。最近では「障がい者」も意識されてきた。海外では、それに宗教的なことや、ゲイやレズビアンまで視野にいれた異質のマネジメントが行われている。
例えば、社内のレストランが宗教上の違いを意識したものになっていたり、ムスリムの礼拝の時間を阻害しないように会議の時間を設定していたり、そのための部屋を用意していたり、同性愛者のパートナーに対する配偶者手当まで存在する企業は、ある。
外国人採用を強化しつつも、役員は日本人だらけ、しかも男性だらけという日本企業はいつになったらそこまで変化できるのだろうか?
話が拡散してしまった。
生き残るために、日本企業をどうしよう?
新卒採用の話だけをしていても意味がない。
未来型企業として生き残るために、これからどうしようか?
2011年は未来型企業のあり方について議論してみよう。
それは「欧米になれ」とか「中国、韓国に負けるな」とか
「会社に居残る使えない上司たちを一掃せよ」とか
そういう話だけではないと思う。
個人的には、21世紀型の日本企業とは、がんばれベアーズのような、あるいはクールランニングのジャマイカンチームのような、決して超プロでなくてもそれぞれの色をだしつつ、成果を出すこと、社内で育てる連鎖が起こっているスーパージェネラリストのスーパーチームワークが鍵になるのではないかな、と思っている。
グローバルスタンダードという言葉がよく使われるが、これはそもそも日本と韓国でしか通じない言葉である。
今後の日本企業の戦略、そして人と組織をどうするか?横並びではなく、具体的な模索をしたい。
私は、やる。
…話が拡散してしまった。徒然日記だな、こりゃ。
就活の件は、ついつい学生不在の議論になりがちでダメだね。そもそもその学生も、問題意識だとかは層別に違うのだけど。うん、「企業」「大学」「学生」とはますます一言で言えない時代。
最後に、茂木健一郎氏のツイートで残念だったのは
就職コンサルタントだか、就職支援だか知らないが、そういう仕事をしている人たちが、「君ねえ、日本の就職というものはねえ」とマッチポンプにしたり顔で説明するのを見ているのも腹が立つ。何らの普遍的原理もねえくせに、現状を肯定するだけのためにくだらねえ理屈を作るな!
と仰ったことだった。
いや、そう言われないように、人材コンサルタントも、就職情報会社社員
も、人事担当者も、意外にも根本思想は持っている。
それを表に出すかどうかは別として。
だいたい、大学卒業だとか、新卒だとか、そういう「制服」みたいな定規に人を当てはめて、それだけで判断して後は口を拭っているやつは、一人残らずバカだ。つまり、原理原則にかえって考えるという態度が全くできていないんだよな。
と仰るなら、立場だけで批判するのはちょっと違うなと思ったのだ。悲しかった。
対立していても仕方ない。先ほどのエントリーで書いたように、今年は意見の違う方、立場の違う方との議論と現場での具体的な取り組みを通じて、「日本の働く」の次の姿を考えよう。
久々にBECKのMellow Goldを聴きながら。
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