2020-09-22 14.55.08

『きまぐれオレンジ☆ロード』で知られる、まつもと泉先生が亡くなった。闘病生活中であるということは、数年前にまさにネットニュースや、Twitterなどで知ったのだが。驚いた。

なんせ、『きまぐれオレンジ☆ロード』である。連載が開始された1984年の春、私は9歳で小学校3年生だった。この年齢の、札幌の郊外に住む少年にとって同作品は衝撃的であった。いや、当時の時代においても、しかも『週刊少年ジャンプ』という少年マンガ誌の誌上においても、同作品はインパクトのある存在だった。圧倒的な甘酸っぱさ、透明感、空気感。「優柔不断」という言葉を同作品から知った。登場人物の描写、距離感にドキドキした。スクリーントーンを多用した絵も新鮮だった。

同誌では、周りのみんなは『キン肉マン』『キャプテン翼』に夢中で。『北斗の拳』も盛り上がっていた。『キャッツ・アイ』もまだギリギリ続いていた。『DRAGON BALL』が始まったのも同時期だ。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』も安心の面白さだったのだが。私は『きまぐれオレンジ☆ロード』と『ブラック・エンジェルズ』で生き方について考えていた。この2作品で私は少し年上の世界を学んだ。それぞれ分野は違うが、情け容赦ない現実について向き合った。

三角関係、接近とすれ違い。何より「Like or Love?」という問いかけ。

オレンジ☆ロードとは何だろうか?私なりに考えてみた。オレンジは赤と黄を混ぜた色である。まさにLikeとLoveを象徴しているような、いや、これらが合わさった微妙な感情のような。「優柔不断」といえばそれまでだが、青春のキラキラした輝きと、壊れてしまいそうな不安定感、何より情熱が合わさった色であるような。

『マッドマックス怒りのデスロード』The虎舞竜の『ロード』を上回る、極上のロードだった。

『きまぐれオレンジ☆ロード』にドキドキした同志たちに私は語りかけたい。中年は、もはやぶれてはいけないし。ましてや、既婚男性にとって配偶者以外の相手との恋愛は社会から大バッシングされる。なんせ、家庭崩壊にもつながる。

ただ、別に恋愛に関してという意味ではなく。『きまぐれオレンジ☆ロード』を読んでいたときのドキドキは忘れてはいけないのではないか?オレンジ☆ロードとは、ドキドキの道だ。今こそ、オレンジ☆ロードとは自分にとってどういう意味なのかを問い直し、同作品に限らず、ジャンプが発売されるのが待ちきれなかった、あの頃の新鮮な気持ちを自らに取り戻すべきである。オレンジ☆ロードは続くのだ。

合掌。

・・・しかし、ヒロインたちがタバコを吸ってるとか、タバコ=不良少女とか、「丈夫な赤ちゃんが産めなくなるぜ」とヒロインを注意するセリフとか、今はあれだねえ。