全力で笑いながら泣いた。極端なようだが、そんなビデオだ、演奏だ。

ロックバンド怒髪天が35周年を迎えた。30周年のときの「デビュー最遅日本武道館公演」も話題になったが、この35周年記念トリビュート音源「オトナノススメ〜35th 愛されSP〜」が凄まじい。人脈を生かした「表営業」の決定版と銘打たれたこの企画、総勢220名のアーティストがレコーディングに参加している。

なんせ、顔ぶれが凄い。ジャンル、世代を超えて、豪華アーティストが参加している。本来であれば、一人ひとり紹介したいくらいだが。個人的にはいきなりのギターウルフセイジ、吉川晃司にやられ。佐藤タイジ、二井原実、影山ヒロノブ、Ken Yokoyama、渡辺美里、スガシカオなどがツボだった。

愛されている。

心から愛に満ちた演奏だった。この「オトナノススメ」を聴いたら、今日も生きようという気力が湧いてきた。怒髪天というバンドが35周年、様々な困難を乗り越えつつ、続き、愛されてきたことの証明だろう。

今さら、怒髪天のことを「札幌のバンド、北海道のバンド」と呼ぶ人は少ないかもしれない。ただ、これだけ多様な人に怒髪天が愛されているのだから、私なりの愛し方があってもいいだろう。私はあえて「札幌のバンド」と呼びたい。

札幌というか、北海道のバンドといえば、最近だとなんと言っても、サカナクションである。私も同バンドは大好きで、北海道から彼らが出たことに誇りを持っている。

でも、個人的にはこの怒髪天と・・・。


メタルバンドSABER TIGERだ。80年代からずっと、札幌を起点にロックし続けてきてくれたからこその安心感というものがあり。この2つのバンドを心からリスペクトしている。

両バンドとも、面白いくらいに困難にぶち当たることが多く。ただ、いつも乗り越えてきて、愛されてきた。

世間での知名度でいうならば、圧倒的に怒髪天だろう。SABER TIGERは、申し訳ないが、一般受けしない音楽をやっている。一方の怒髪天だって、誰もが知っていて、ロックファンが日常的に口ずさむバンドとは言いがたい。

ただ、頑固にロックし続けていることは共通している。そして、いつも北風にも太陽にも向き合っている様子が札幌のバンドらしい。ブレずに続けること。そうすると、きっといつか愛される。

中高生の頃、狸小路の楽器屋に行くたびに彼らのチラシやテープを見かけたような。あくまで記憶というか感情であって、実際、本当にテープだったかは定かではないのだが。ロックし続けるとはこういうことだと10代ながら感じた。当時の私はナイフのように尖っていて、いくつもの夜を走り向けたのだが。どうやったら彼らのようになれるか、日々模索した。

2019-09-12 16.41.07

というわけで、愛されるためには、頑固に続けなくてはならないのだと思った。いつか光が当たるその日まで、私も頑張る。ありがとう。

北海道弁で言うなら、怒髪天もSABER TIGERも、なまら、かっけえ。



最新作をよろしく。