2019-04-10 19.41.58

まるで、全日本プロレスの新春恒例バトルロワイヤルを見ているようだ。全国紙社説が、一斉に桜田義孝を叩いている。今どき、新聞が大好きで7紙購読している。新聞好きとしてたまらないのは、各紙が良い意味で横並びで正論を言う瞬間である。さらには、読売と産経が政権批判をする瞬間である。

読売:桜田五輪相更迭 1強の緩みが蔓延している
朝日:桜田大臣辞任 守り続けた責任は重い
毎日:首相が桜田氏を更迭 半年余も守った罪は重い
日経:年功序列で閣僚になる時代は終わった
産経:桜田氏の辞任 政府の五輪軽視の結果だ

それぞれの色が出ており、読み応えがある。いや、色というよりは「芸風」と言っていい。行間を読むとさらに面白い。

読売は、一通りの経緯説明をしつつ、「自らを支えた派閥に論功行賞でポストを割り振った側面が強い」「適材適所の原則を軽視すれば、結局、そのツケを払うことになる。人事権者として改めて肝に銘じなければならない」などと、桜田義孝を登用したことを批判。安倍政権の緊張感の欠如、甘い考えが党内に蔓延などと指摘した上で「首相は指導力を発揮し、党内を引き締めねばならない」と警鐘を乱打している。

もっとも、これは安倍政権への叱咤激励とも捉えることができる。しかも、安倍政権は人事権によって成り立っていることなどを可視化しているのも味わい深い。

朝日も幕の内弁当的に桜田義孝の何が問題かを列挙した上で「論功行賞人事」を糾弾。桜田氏を「適任」だとかばい続けてきた安倍首相を批判している。ただ、朝日新聞を幼少期から心から愛し、苦言を呈さなければならない。パンチも毒も足りない。優等生っぽいのは朝日らしさとも言えるが。娘には朝日・岩波英才教育をしているが、今日の社説は読み聞かせるのには値しないものだった。烈々たるパトスを赤々と燃え上がらせてほしい。

その点、毎日の社説は、もっとも後楽園ホールと日本武道館に近い全国紙だけあって、パンチがきいている。「安倍晋三首相はなぜ、この人を閣僚に起用し、半年余も続投させてきたのか。そんな疑問が改めて募る」というスパイシーな書き出しから始まっている。途中は、これまでの二紙同様、事実関係をランチの1,500円コース的に説明しているのだが、後半で突然、コロニーレーザー炸裂!「にもかかわらず首相が更迭しなかったのは、桜田氏を辞めさせれば、財務省の文書改ざんで責任を取らなかった麻生太郎副総理兼財務相の進退問題が再浮上し、辞任ドミノにつながると恐れたからかもしれない。」と麻生氏の責任を追及。さらには、閣僚人事を「滞貨一掃」人事と斬っている。実に痛快だ。あっぱれ!

日経は芸風がかなり異なる。「不適格な閣僚を生む政治の仕組みは放置されたまま」とシステムの問題を指摘する。これまで、閣僚の増員に日経は否定的だったことなどの経緯を説明。「大臣になりたい病」など、まるで常見陽平が考えそうなフレーズまでぶっこんでいる。毎日同様、滞貨一掃という言葉で斬っている。「民間企業では能力本位の人材起用がとっくに常識になっている」と、自由競争バンザイの日経らしい主張も炸裂(この自由競争バンザイ論はときにやや危険なのだが)。「復興を公共事業を増やすカードぐらいとしか思っていないと疑われかねない」という自民党批判も見事だった。

安倍応援団と呼ばれる産経も手厳しい。「人を見る目はないのかと批判されても仕方あるまい。派閥均衡や当選回数で入閣者を決めるから、こうした事態を招く。政府全体で猛省すべきである。」と、無慈悲な鉄槌を振り下ろしている。「鈴木氏が適任であるなら続投でよかったはずだ。猫の目のような交代劇は、政府の五輪軽視としか映らない。」と、五輪軽視人事と手厳しい。その後のフレーズが鳥肌モノだ。「昭和の東京五輪でも担当相を置いた。歴代は川島正次郎、佐藤栄作、池田勇人(首相兼任)、河野一郎の各氏である。」という、「昔の日本はよかった」論が大爆発。このあたりがスラスラ出てくるのはさすが、産経である。その辺のネトウヨとは教養のレベルが違う。

2019-04-12 20.22.31

というわけで、これだけ超党派で桜田義孝や、安倍政権を叩いたのは実に痛快だ。プレミアムフライデーは、最終金曜日に限らず、都合のよい時期にという方針になったが、私にとっては今日がプレ金だった。日本にまだ希望を持つことにした。ありがとう。