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「海賊王に、俺はなる!」

『ONE PIECE』の主人公、ルフィがこう叫んだのは20年前のことだった。この間、仲間と一緒に冒険を続け、戦い続けたが、いまだに海賊王になれてはいない。これはどういうことだろうか?

もちろん、物語の中でのことではある。連載を続けるための、大人の事情というものもあるだろう。

もともと、同作品は『DRAGON BALL』や『スラムダンク』というドル箱作品の連載が終了した後に、起死回生の一打として、『週刊少年ジャンプ』の編集部が「開発」した「商品」だと私は解釈している。長く連載を続けることができるようなつくりになっている。商品化もしやすい。長きにわたって人気作品であり続けているが、もともとそういう風に仕組まれているのである。そうそう簡単に海賊王になられては、困るのである。

もっとも、この状況は、まるで自分探しが止まらなくて、迷子になっている意識高い系の成れの果てのように見える。会社をやめ自分の夢や理想の組織や仲間を追い求めて、そこにいまいち届かないという。

20年とは長い期間だが、まだミッションをコンプリートすることはできていない。普通に会社に勤めていたら、いくら組織のフラット化や役職の見直し、年功序列の是正などが行われていても、年収はそれなりに上がり、役職もついていたかもしれない。

逆に、人気連載というものに縛られてしまって、自由や可能性を失われた残念な人に見えてしまう。可愛そうだ。

目の前のことに取り組むことは決して悪くない。海賊王もいいが、まずは目の前のことをしよう。もう、ルフィはいい。君は君の人生を送ろう。