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フレッシャーズシーズンである。会社に新人が入ってくる。リクルートに勤めていた頃、2年目以降の社員は新人に対して「旧人」と呼ばれていた。いま、思うと、非道い言い方なのだけど。たった1日しか変わらないのだが、2年前になると、若手ではあるものの、明らかに接し方がかわり。よくも悪くもほおっておかれる。

若手時代というのは、まさに若気の至りというものはあるもので。なんとかして、自分の企画を通したいとか、これは自分のやりたいことではないとか、そんな想いが交錯するものである。

たまたま、いま出ている日経ビジネスを読んでそんなことを考えてしまった。アイドル特集が組まれているのだ。この春に編集長の異動があり。彼の最後の仕事である。その企画は、若手の女性社員によるものだった。彼女1人で手がけている。アイドル特集をやりたいという熱意があったとか。

これ、まさに、公開若手教育みたいな感じで、行間を読んで感動してしまった。日経ビジネスでアイドル特集というのはなかなかのチャレンジなのだけど。同誌のメイン読者はキャンディーズ世代のようで。アイドルビジネスから学べという内容なのだ。

熱意には、本気で応えないといけない。お金を払って読んでいる読者として、また、物書き業界で兼業とはいえ、10年食べているものとして言わせて頂く。はっきり言って、読者不在の稚拙な特集だ。正直、私のようにアイドルに詳しくないものにとっても、新鮮味がない。アイドルビジネスから学べというふうにおじさんに諭しているのだが、なかなか説得力もなく。こじつけにしか見えない。釈迦に説法な話が続く。おまけに、文章まで稚拙だ。

読者をバカにするな。日経ビジネスは、日本を代表するビジネス雑誌だ。誇りと責任を持ちなさい。同誌の特集としては、クオリティが不十分だ。主に会員制ビジネスでやっていることにあぐらをかいてはいけない。

これは読者、物書き視点での評価だ。

一方、教育者、人材コンサルタント視点でいうならば、これは公開人材育成なのだと感じた。彼女の熱意に応え、若手社員に大胆に企画を任せることによって成長を促す、組織を活性化させたい、そんな想いなのだろう。世の中に閉塞感があるなか、それを打破せよという残された編集部員へのメッセージでもある。

彼女も、自分の企画をやりとげた満足感以上に、自分の至らなさに気づいたのではないか。

サラリーマン時代は企画がダサいくせに通らず悶々としたことがあった。でも、あえてやらせてもらうことによって自分の至らなさに気づいた。それもまた成長の機会だ。

最後に、編集長、お疲れ様でした。若手女子社員のサイトウさん、この日のことを忘れずに。将来、後輩のわがままにこたえ、転ばせて、育ててほしい。