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春が近づいてきた。キャンパス内の桜は、見事に咲いている。卒業式までもってもらいたいものだが。さて、日本の労働者には春はやってくるのだろうか。

2016年8月3日に発足した第3次安倍政権第2次改造内閣は自らを「未来チャレンジ内閣」とし「未来への責任」を果たすことを明言した。その中でも「最大のチャレンジ」として位置づけられたのは「働き方改革」だ。

「働き方」が国家をあげた検討事項となることは画期的なことではある。バズワードにもなった。ただ、その検討プロセスや検討結果は十分だと言えるだろうか。「これじゃない感」が漂っていないか。課題に対する打ち手がズレているという部分が多数ある。

もともと、「ワーク・ライフ・バランス」なるものが提唱されていたように思うのだが、電通過労自死事件の影響などもあり、いつの間にか、「生きるか死ぬか」という意味での「ライフ」の議論になってしまった。しかも、それに対する対策は「労使合意」なるものに丸投げされ、そこでは過労死ラインを超える労働が容認されるかのような結論が打ち出された。過労死・過労自死防止に対して十分なものといえるだろうか。

もっとも、規制をすればいいというものではない。この規制によってサービス残業が誘発されてしまう懸念もある。「働き方改革」といいつつ、実は「改善」レベルのことの繰り返しだ。仕事の絶対量や、求められる成果に踏み込んでいない改革も散見される。

しかも、その成功事例とされるものはIT企業や人材ビジネス企業のものがよく見受けられる。意地悪な見方をするならば、自らを成功事例にして、働き方改革に便乗した「特需」を狙いにいくのではないかとすら思えてくる。

そう、「働き方改革」はそれを手がけるコンサルティング会社、IT企業、人材ビジネス企業にとっては「特需」なのである。実際、人材ビジネス企業の一部の株価は働き方改革に関連した思惑買いなどで上がっているという記事が株価欄などでは見られる。何もかも働き方改革が解決するかのような印象操作が行われていたのもまた事実ではないか。

「国をあげた最大のチャレンジ」なるものが、「国をあげた最大の茶番」となっていないだろうか。 そもそも論で言うならば、「働き方改革」という言葉に、私はもっとワクワクしたかったのだ。この言葉にみんな両手をあげて興奮するだろうか。両手をあげて大歓迎できないのはなぜだろう。読者の皆さんも胸に手をあてて考えて欲しい。

この言葉をある者は利用し、ある者はこの言葉に踊らされ、気づけばその根深さに気づき、みんな疲れてしまったのだ。「働き方改革」などと言いつつ、根本的な改革に着手せず、矛盾の糊塗、魂の腐敗、道義の頽廃に終始する欺瞞に満ちた会社と社会に対して、私の怒りはもう我慢の限界に達している。

「働き方改革は所詮、働かせ方改革だ」「働き方改革といいつつ、休み方の話ばかりしていないか。儲かる社会、儲かる企業、良い仕事をどうつくるのか考えないのはおかしい」「働き方改革の美名のもと、労働者がますます搾取される社会の実現を断固として阻止しなくてはならない」という旗幟も鮮明に、たたかう決意を打ち固めたのである。

この「働き方改革」に関して物申すべく、いてもたってもいられず、私は参議院会館での院内集会を企画した。2017年3月28日18時30分から、参議院議員会館・第101会議室(1階)にて「働き方改革に物申す院内集会」を開催する。

冒頭で、私が問題意識を共有した上で、私が信頼する盟友たちが、講演を行う。

基調講演のタイトルは
「働き方改革の難点 1億総安心労働社会の実現を」だ。
最新作『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)をもとに、話をする予定だ。

ここに、登壇者と講演テーマを発表する。

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育児・教育ジャーナリスト おおたとしまさ氏
「働き方改革への懸念 『ゆとり教育の二の舞い』」

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フリーライター 赤木智弘氏
「『「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。 』から10年 日本社会の何が変わったか」

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ウェブ編集者・元博報堂社員 中川淳一郎氏
「大手広告代理店の働き方 何が変わり、何が変わっていないのか」

もう説明不要だろう。盟友、強敵(とも)たちが集結し、想いを語る。

その後、このメンバーで建設的な提案をすべく、議論をするつもりだ。

中川氏は最新作『電通と博報堂は何をしているのか 』をリリースする。これに関連した話もしてもらうつもりだ。

質疑応答の時間もある。来場した国会議員からもお言葉を頂く。場をご用意頂いた、民進党伊藤たかえ議員に感謝。

入場無料。限定100席。

お申込みはこちらから。

参議院議員会館で気鋭の論客たちが吠える!

俺達の働き方改革の話を始めるのだ。