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実に1年と2ヶ月ぶりに、NHKの「週刊NEWS深読み」に出演することになった。

明日、9月24日(土)の8時45分から。

テーマは「働き方改革」だ。

今、書いている『「残業」の社会学 働き方改革の罠(仮題)』の内容や、先日、おおたとしまささんと開催し、好評だった「俺達の働き方改革ナイト」の内容も踏まえつつ、専門家として、そして労働者の代弁者として問題提起したい。

そうそう、おおたさんのこの論考もぜひ、読んで頂きたい
『「働き方改革」を「ゆとり教育改革」の二の舞にしないために』
http://ameblo.jp/toshimasaota/entry-12200798927.html

「働き方を変えよう」と、前向きに言われると、多くの者が総論では反対しないだろう。

しかし、何のために改革するのか、何を問題だと設定するのか、目標と手段は適切なのかということは問わなくてはならない。良かれと思って行った打ち手がマイナスになることもある。結局は「働かせ方改革」であることも、労使ともに自覚しなくてはならないだろう。

「組織は戦略に従う」という考え方から言うならば、何を目的にするがゆえに働き方を変えるのかということも考えなくてはならない。そもそも、乾いた雑巾を絞りとるようなことを極限までやるのもいいが、生み出す価値を上げなくては意味がない。今後、どの産業で勝負するのかという議論とセットで考えなくては無意味だろう。

気づけば「一億総搾取」になってしまっては意味がない。

「働き方改革」が「解決する」ことだけではなく「解決できないこと」も自覚しなくてはならない。例えば、少子化などはこの改革「だけ」では解決しない。

また、数字や事実の両義性、多面性も理解しなくてはならない。母子家庭出身者として女性の社会進出にはもちろん賛成の立場ではあるが「働かざるを得なくなっている」という現実の結果でもあることは直視しなくてはならない。筒井淳也先生が指摘している「共働き夫婦」間の「格差」という問題も。

突き詰めると、これはどんな国家像を目指すのかという話ともリンクするはずである。そこがぼやけている中で、労働者・生活者を救いそうで、単なる労働強化になってしまったら意味がなくなってしまう。そこで突きつけられるのは、実は今よりも貧しくなる勇気なのではないかとも思ったりする。

格差の是正もそうだけど、「格差」ではなく「役割分担」という考えが必要で。仕事の絶対量を減らす層と、そうではなくハイパーに働く層の分化という議論も必要だ。

そもそも、旧来の日本的経営の外にいる労働者が増えていること、個人請負労働者の増加なども視野にいれた議論も必要だろう。

普遍性を装った美しい言葉に手懐けられないように、美しく抗うつもりだ。まだ会社も社会も、私たちを飼いならしてはいない。

45分という短い時間であり、他の専門家もいる中ではあるが、世の中にポジティブな論争を起こすべく、頑張る。

私の問題意識は、先日の連合神津会長との対談にまとまっているので、ご覧頂きたい。2つあるが、内容が違うので。

日本人を追い込む「使い潰し経営」にモノ申す 労働者は権利を意識して互いに手をつなげ | 「若き老害」常見陽平が行く サラリーマン今さら解体新書 - 東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/133855

「1億総活躍」より 「1億総安心労働社会」を!~普通に働く幸せを大切に~
http://www.jtuc-rengo.or.jp/digestnews/monthly/3061

出演のために、散髪もすませた。ヘアカラーも(バイオレットだ)。今日、電車の中で、みんなが優しかったよ。



要するに、僕たちはガンダムのジムであるということなのだよ。