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今をときめくメタルダンスユニットBABYMETALの東京ドーム公演2デイズ2日目に行ってきた。MCなし、アンコールなしで駆け抜けた圧巻の90分。日本のアイドル史とメタル史が塗り替えられる瞬間を見た。しかし、これでいいのかという気もする。それが率直な感想だ。

煽りVでは2日間で11万人動員とのことだが・・・。体感値ではこれまで行ったあらゆるドーム公演の中で最も人が入っていたように感じた。ステージはアリーナの中央に設置され、3方向に伸びている。中央のステージはメリーゴーランドのようになっており、屋根の部分にも登れるようになっている。観客には、透明のコルセットが配られ、曲によってはこれが発光するようになっている。ヘッドバンギングの際に首を保護するという意味もあるようだ。

彼女たちが十字架に貼り付けられて出てきて、演奏が始まり、踊り出した瞬間、自然に涙が流れてきた。曲は主にこれまでのフルアルバム2枚から選曲。2日間で曲がかぶらないようにしているようだ。私が行った日は、代表曲の「ギミチョコ!!」や最近のスマッシュヒット「KARATE」などが聴けず、やや残念だったのだが。

とはいえ、巨大な舞台装置を駆使した数々の演出、神バンドの演奏、何より歌い踊り、ステージを駆け抜けて叫ぶ3人のパフォーマンスは圧巻だった。集まった5.5万人のファンは拳を振り上げ、首を振り、歌い、踊る。アイドルとメタルがにくいほど融合したBABYMETALの奇跡の瞬間だった。X JAPANなど先人たちのオマージュもニヤリとする感じで楽しい。

音源よりもライブの時代だと言われるが・・・。ここ数年見たあらゆるジャンルのショーの中でもかなりの完成度だった。

このアイドル×メタルというコラボだが、やればいいというわけではなく、絶妙なバランスの取り方がにくい。ライブで確信したのは、完全に女性3人のパフォーマンスはアイドルであり、楽曲はにくいほどにメタルだった。演奏も実にタイトだ。そして、アイドル×メタルであるがゆえに、話題性もあるし、ジャンルを超え、国境を超え、多くのファンを取り込むことができたのだろう。

レディー・ガガやレッド・ホット・チリ・ペッパーズなど海外の大御所アーチストの前座への抜擢、海外のフェスへの出演や大会場でのライブ、ビルボードチャートへのランクインなどの快挙を成し遂げてきたのだが、それはBABYMETALの技量や熱量、ユニットとしての完成度だけでなく、高度な合理性によるものだとも思う。

BABYMETALの、そして日本のライブの一つの完成形を見たように思う。もっとも、言葉を選ばず言うと、同ユニットと日本のライブの限界を見てしまったようにも感じた。これ以上、何をするというのだろう。日本にはまだまだBABYMETALのライブを見ることができていない人がいる。いや、日本でも世界でもまだまだライブをやっていないエリアがある。パッケージ化されたショーとして、国内行脚も、海外への輸出も可能だし、現に後者は成功している。映像コンテンツ化もしやすいライブだとも言えるのだが。

東京五輪に向け、ライブ会場はますます自由には使えなくなっていく。チケットも争奪戦だ。しかも、格差社会であり誰でも買えるわけではない。ライブの時代が、いつ一段落するのかというのが気になっており。それはすでに、今年、訪れてしまっているのではないか。

BABYMETALも、別に万人ウケしなくていい。今、時代が求めているのは濃い熱量であり、万人に理解されない熱狂だ。この日の会場も半端ない熱量だった。最も、圧倒的なキラーチューン、アンセムソングがあったかといえば、疑問が残る。あくまで過去の先人たちへのオマージュであり、BABYMETALならではのメタルはまだ完成されていない。・・・そうか、それが彼女たちの今後の目標なのか?

というわけで、歴史的な瞬間に立ち会えたことに感激しつつ。今後への期待と、曖昧な不安を書き綴ってみた。

おめでとう。