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広島東洋カープがリーグ優勝した。実に25年ぶり、7度目だ。

感動した。

何に感動したかというと、ファンたちである。TLに流れてくる歓喜の言葉、熱い想いにである。カープに対する愛の言葉で埋め尽くされていく様子、その熱量は、2011年のなでしこジャパン優勝や、まさに今年のリオ五輪でのメダルラッシュを上回るものだったと感じた。

優勝が決まった前日の、9月9日(金)に放送された、TBSラジオ「荻上チキSession-22」の特集、「広島カープ、その強さと魅力に迫る!」を聴き、私は涙した。

「広島カープ、その強さと魅力に迫る!」
http://www.tbsradio.jp/72061

このURLで、ストリーミングで聴くことができるので、ぜひチェックして頂きたい。ラジオ番組を聴きながら泣いたのは実に久しぶりである。なぜ涙したか?それは、カープ好きたちの声、熱量だ。番組が徹頭徹尾、カープ愛に満ちていた。大の大人が笑って泣ける奇跡の時間だった。最高の人選、空気感だった。メインパーソナリティーの荻上チキ氏、プロデューサーの長谷川裕氏を始めとするスタッフの力量もさることながら、登場人物の愛と知識、リスナーからの熱いメールが良い化学反応を起こしていた。



TLを眺めていると、『はだしのゲン』風の画像がよく流れていた。私は小学校2年生の頃から同作品のファンで、一通り読んでいるのだが、よくみると、同作品のものではなかった。気になったので調べてみると、中沢啓治氏の作品で『広島カープ誕生物語』というものがあった。Kindleで読むことができるので、早速購入し、ダウンロードした(残念ながら、話題の読み放題サービスでは楽しむことができない)。

先日のSession-22同様、大の大人が笑って泣ける作品だった。涙が止まらなかった。カープがなぜ愛されるのか。その理由が分かるものだった。一部は『はだしのゲン』でも登場していたエピソードだったが・・・。広島カープは日本初の市民球団だ。

「新球団が復興の旗印となるなら、どんな苦労でも受け入れよう」

設立に尽力した谷川昇氏の言葉だ。原爆が落とされた都市、広島にとってカープは希望だった。

「貧乏球団」であり、遠征は夜行列車の安い席に選手が雑魚寝。「廃墟」に近い寮で選手は生活していた。寄付を募るために、監督と選手は会館、劇場などでファンに挨拶した。その際は、歌まで披露したという。一部は漫画ならではのフィクションだと思うのだが、ファンの熱狂ぶりが凄まじかったことも伝わってくる。いまや「カープ女子」などという言葉も生まれているが、ファンの熱量、愛される球団であることは、その原点にも秘密がありそうだ。



なお、カープ誕生秘話は、NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられてる。まとめた本をやはりKindleで購入し一気に読んだが、中沢啓治氏の作品で紹介されていた一見すると「トンでも話」のようなエピソードの一部がどうやら事実であることを知った。

ややネタバレだが、両作品でも1975年の初優勝について触れられている。泣けることは言うまでもない。

Session-22の番組の中で、「今年ほどクライマックスシリーズが要らないと思う年はないのではないか」という趣旨のコメントがあったが、激しく同意だ。

広島県が好きだ。大好きな矢沢永吉、吉川晃司、Perfumeを輩出した街だ(奥田民生は別に好きでもないのだが、先日行った吉川晃司のライブでのMCによると広島優勝が迫る中、メールのやり取りをしたらしい)。

私は、地元の希望、我が北海道日本ハムファイターズのリーグ優勝と日本シリーズ進出を信じている。戦後の広島にとって野球チームが夢だったように、道民にとって地元のプロ野球チームは数十年にわたる希望だった。

過去最高の夢と愛に満ちた日本シリーズになるに決まってる。