『リクルートという幻想』という本を発表してもうすぐちょうど2ヶ月になる。おかげ様で、発売後にすぐ重版がかかった。いくつかの書店ではトップ10入りした。Kindle版も発売された。この間に、リクルートホールディングスは東証一部に上場した。3100円で売りだした株価は現在、4000円にせまる勢いで推移している。タイミングがちょうど合ったこともあり、たくさんの取材依頼を頂いた。

取材依頼同様、実はじわじわと出版関係者から、問い合わせが入った。この本のマーケティングについてである。うん、たしかに、少なくとも自分にとっての初の取り組みを行っている。いや、出版業界の中でも珍しいのではないだろうか。

具体的には、次の3点である。
1.本作りのプロセスをチラ見せする。
2.新作発表記者会見を行い、ニコ生配信する。
3.書籍のCMをつくり、YouTubeで配信する。


この3点だ。

よっぽど売れている著者ではない限り、出版社が広告などにお金をかけてくれるわけではないので、著者自らの売る努力が必要である。おかげ様で、この本は出版社からも多大なる協力を得られた方ではあるのだが。

それぞれの取り組みについて紹介しよう。

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1.本作りのプロセスを開示する
これは賛否あるだろう。これから出る本のことを明かすのだから。

とはいえ、お楽しみ感を高めるために、ゲラなどが届くたびに、それを自分のFacebookにアップし、チラ見せしていった。

これにより、事前の予約はかなり入ったのでセールスにも繋がった。

チラ見せした範囲に関して、Facebookで繋がった方からご意見を頂いたり、あらたなデータ、ファクトをご提供頂いたりもした。

もちろん、そもそも「こんな本、本当に出すのか?」というご批判の声もあったが。

発売前から、想定される賛否や、ツッコまれそうな部分が分かったので、原稿を仕上げる上で大変に参考になったのだった。そして、事前にチラ見せしている原稿を超えなければ、商品として売る意味がないので、励みにもなった。なんせ、事前の予約も増えた。

というわけで、このチラ見せ作品は完成度アップにも売上にも貢献したのだった。


2.新作発表記者会見を行い、ニコ生配信する。
発売の約1週間前に記者会見を行った。しかも、その様子をニコ生で配信した。

仕事でつながりのある記者中心に、取材に来てほしいと個別にお願いした他、出版社からもプレスリリースを行った。おかげ様で約20名の記者が集まった。

記者会見には、盟友中川淳一郎氏も同席。公開トークショーも行った。予想通り、乱闘にもなったのだが。

ニコ生配信も、事前にかなり告知したので、タイムシフトも含めると2000名以上に見てもらうことができた。その配信中に、Amazonでの本書の順位は100番台前半まで上がった。

しかも、ネットニュースを中心に、発売前後にたくさんの媒体で紹介され、それが初動の好セールスにもつながった。

この取り組みは、むしろ出版業界で話題になったようで、問い合わせが何件もきた。出版社の中でも、社内報でこの取り組みは紹介された。

比較的低予算でできるプロモーションであり、書籍の魅力が伝わるものになり、効果的だった。


3.書籍のCMをつくり、YouTubeで配信する。
書籍のために広告を出すことも、ましてやCM映像を創ることも、よっぽど売れている本でなければ企画として通らない。そこで、手作り感のあるCMをYouTubeで流すことにした。

ホワイトボードアーチストのキザキヤさんに依頼。彼は伝わりやすいCMを低予算で、作ってくれるのだ。ホワイトボードなのが素朴で秀逸。

まだ公開したばかりなので、成果が出たとはいえない。ただ、今後、じわじわと話題になるのではないかと信じている。ゲンロンカフェでのイベントでこのCMを初めて公開したのだが、おかげ様でその晩、この本はその場で15冊売れた。

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もちろん、POPをつくったり・・・。

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書店をまわったり・・・。

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イベントをやったり・・・。

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ラジオなどメディアに出たり・・・。

ネットニュースでインタビューを受けたり・・・。

元リク対談したり・・・。

寄稿したり・・・。

と、地道な努力は常にしている。というか、ここまでやって当たり前。それが、この時代に著者であるということである。いや、ここまでやらずとも、涼しい顔で5万部、10万部と売れれば、それが良いのだろうけど。



自信作、代表作であると自負しているので、ぜひ、手にとって欲しい。感想、ご意見もぜひ。

・・・こういうふうに営業を頑張ってしまう行為自体が、リクルートっぽいと言われそうだが。