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ZIGGYの30周年記念ツアーを名古屋で観た。結論から言うならば、汗と涙が止まらない素晴らしいギグだった。超満員の会場に集まったファンは、ぱっと見、35歳以上だった。ふと考えた。これはアラフォー男女の「青春同窓会消費」なのだと。

19時をすぎ、客電が落ちる。オープニングのSEとしてDavid Bowieのファンキーなナンバー”1984”がフルコーラス流れる。彼らが結成した1984年にちなんだものだろう。そして、ZIGGYというバンド名はDavid BowieのZiggy Stardustにちなんだものだということを思い出した。

メンバーがステージに登場し、会場のボルテージは既に沸点に達する。オリジナル・メンバーである森重樹一、戸城憲夫がステージに並ぶ。この時点で、泣けてくる。

数年前から活動休止状態になっていたZIGGY。戸城憲夫はかなり前にバンドを脱退しているが、今回は30周年に合わせて再結集したのだった。ギターの松尾宗仁、ドラムの宮脇”JOE”知史は参加しなかった。やはり、メジャーデビュー当時のメンバーである大山正篤も参加しなかった。誰が参加するかについては、メンバーのブログがやや炎上気味になったりもしたが、結論から言うならば、森重と戸城が一緒にステージに立つというだけでも意義があるものだったといえる。R&Rが続いているのである。

1曲目は”WHISKY R&R AND WOMEN”だ。彼らの6枚目のオリジナル・アルバムであり、初めてオリコンのアルバム・チャート1位を獲得した曲である。ワイルドな歌詞が特徴の疾走感のあるナンバーだ。ここから、2回目のアンコールの”GLORIA”や”SING MY SONG”、”HOW”、”ONE NIGHT STAND”まで一気に駆け抜けた。

出し惜しみしないセットリストで、まさにグレイテストヒッツそのもの。なんせ、初期の代表曲”I'M GETTING BLUE"ですら4曲目だ。アニバーサリーツアーにふさわしいものだった。

金髪で両腕、いや全身にTATTOOを入れた50歳の森重樹一は、昔と同じくマイケル・モンローそっくりだったし、ベースの53歳の戸城憲夫はニッキー・シックスやアンディ・マッコイそっくりだった。ともに、ステージを全力で駆け抜けていた。若いメンバーである、ギターのカトウタロウ、ドラムの金川卓矢の演奏は、実にタイトで、名曲たちの魅力をさらに際立たせていた。キーボードの佐藤達也は以前からZIGGYをサポートしていたが、実に存在感のある演奏、パフォーマンスだった。

ここまでは、簡単なライブレポートだが、会場の温かい空気を楽しみつつ、ふと思った。

これはアラフォー男女の「青春同窓会消費」なのだと。

明らかに年齢層は高めだった。会社帰りのサラリーマン、誰がどう見ても「熟女」という方も多数だった。39歳の私ですら、一番若いくらいだ。皆がサビを歌える。懐かしいタテノリが飛び出す場面も多々あった。

5000円のチケットと、グッズが飛ぶように売れる。

以前、このブログで書いた大御所洋楽アーチストの来日公演は、60代以上の方が高額チケットを買い、楽しむ場となっている。昨年観たKISSの武道館ライブでは、ベースの60代のジーン・シモンズは相変わらず血や火を吐き、空を舞うパフォーマンスをしたが、そのうち本当に血を吐き、昇天するファンがいてもおかしくはない。

それよりもやや若いが、今後、このようにバンドブームの頃に売れていたアーチストたちのアニバーサリーツアーは盛り上がりを見せるのだろう。ちゃんとお金を落としてくれるし、青春を取り戻すことができる。青春時代に憧れたアーチストたちがまだ元気に活動している。会場に集まった仲間たちも社会と会社の中でもがきながら頑張っているのだ。

アラフォー男子の憂鬱 (日経プレミアシリーズ)
常見 陽平
日本経済新聞出版社
2013-12-10


赤木智弘、おおたとしまさ、速水健朗と一緒に作った『アラフォー男子の憂鬱』でもふれたが、このように何度も、アラフォーは消費の対象として狙い撃ちされるのである。

バンドブームの頃に中高生だった層は今、アラフォーだ。今後もこのような、アラフォー向け「青春同窓会消費」は音楽に限らず増えていくのではないか。

いや、楽しく踊らされているのだけど。

「君はロックしているのか?」と問われているような気分になる。

その度に、私は「大丈夫、ちゃんとしてるよ」と心の中でつぶやくのだ。