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学生、市民、労働者諸君!時代は、「ポエム化」である。超絶!ポエム化社会、これこそが、いま、そこにある問題だ。このテーマについて、いくつかのエッセイを書くことにしよう。第1回目は「ブラック企業とポエム化」だ。

「ポエム化」とは何か?新しい言葉なので、やや定義は揺れているが、まるでポエムのような、ふんわりとした言葉遣い、内容があるのかないのか分からないような言葉があふれていることを指すようだ。

居酒屋から、マンションのチラシから、オリンピック招致のスピーチまで、何から何までポエム的な言葉であふれてきていないか、というわけだ。

小田嶋隆氏が書籍『ポエムに万歳』(新潮社 なお、これはもともとは連載)で問題提起したものである。

彼の定義では「詩とポエムは違う」という。後者は、よりふんわりしていて、内容があるのかないのか分からないようなものになっている、と。

言われてみると、たしかにそんな気がする。いや、元サラリーマンの立場から言えば、会社は標語がいっぱいだったし、社是・社訓自体がポエムといえばポエムだったような。営業資料もポエムっぽいものがあった気がする。そして、そんなもの自体は、昔からあるといえばある。

ただ、70年代、80年代の過労死と、2010年代のブラック企業問題が同じようで違うように(簡単に言うと、正社員という立場をとことん悪用するようになったのと、若者を食いつぶす度が高くなっている、サービス業の比率が高いなどの点において)、以前からあるこの手の標語、社是・社訓と、最近の企業でのポエム化したメッセージは違うように思う。より、ふんわりしていて、内容があるのかないのか分からないようなものになっていて、でも、心には響き、それで動いてしまうという。

ポエム化について、ふと思い出してしまったのがブラック企業である。中には募集、選抜からオリエンテーション、組織的社会化というリクルーティングの一連のプロセスにおいて、いちいちポエム化している企業があるのだ。

募集においては、誰もが反対しないような、でも、何を言っているのか分からないような言葉を使う。夢、感動、NO.1、お客様の笑顔、成長なんて言葉が並べられ、あたかもポエムのように飾り立てられ、でもふわふわしている。「大企業を捨てた者が、ここにはいる」「ここに感動がある」などである。

やや古いが、以前、例をここにまとめたので、ご参照頂きたい。
爆笑!失笑!企業の下心丸見え!リクナビ・マイナビの就活DM傑作(迷作?)選 - 陽平ドットコム〜試みの水平線〜 
http://www.yo-hey.com/archives/51065718.html

会社説明会では、かっこいい社長が出てきて、熱弁をふるう。ただ、よく聞くと、自社のことのようで、世の中の一般論、たとえばグローバル化や起業に関することをあたかもすべて自分のことのように言う。

「君はベターを選ぶのか、ベストを選ぶのか、考えてくれ。ベストが、ここには、ある。一緒に世界一を目指そう」

例えば、こんな感じの言葉だ。これを聞いて、心が純粋な(いや、純粋すぎる)学生は感動する。それを聞いている社員が一緒に泣いていた、なんていう証言もある。

選抜においても、面接が洗脳というか、マインド・コントロールになっていて、ひたすら一緒に世界一を目指そう的なことをすりこんでくる。

オリエンテーションにおいても、ポエムっぽい言葉が並び、洗脳っぽい研修もある。

入社してからも、まさにポエムっぽい標語が社内に並ぶし、社長や管理職からも発せられる。ビジョンカードなるものが配られ、そこにポエムっぽいことが載っていたり。

・・・こんな話を見聞きしないか?

これは、ブラック企業以外でも行われているし、一部は組織マネジメントにおける有効な手法として広がっているものがある。ビジョンカードなどはまさにそうだろう。いや、載っている内容により大きく違うのだけど。

ブラック企業問題同様(いや、関連しているが故に)、この手の話が面倒くさいのは、これはこれで、合理性があるということである。気持ち悪いなと思いつつ、こういう取り組みをしている企業がベスト・プラクティスとして紹介されていたりする。

「ポエム化、よくわからん」「気持ち悪い」と思いつつ、これが広がっている(ようだ)ということは、そこに合理性があるのだろう。この手のメッセージが響いてしまう背景ってなんだろう。これは次回以降、考察することにしよう。

というわけで、第1回は、ブラック企業との親和性について紹介してみた。

ポエムに万歳!
小田嶋 隆
新潮社
2013-12-04


この本、まだ読み込めていないが、今のところ超絶面白いので、よろしければ是非。

あと、このテーマで、文化系トークラジオLifeに出演する。詳細はこちら。

あなたの周りのポエムっぽいと思ったことも是非、私に教えてほしい。

最後に、私が昔書いた、ポエムはこれだ。気持ち悪いだろ。10年前、意識の高いサラリーマンだった頃のものだ。

バルス。