今年もこの季節がやってきた。毎年、発表している個人的ベストテン。
修論で忙しいのだけど、これは書かなくては、だ。
今年発売された本で、今年読んだ本が対象。選考基準は、私の独断と偏見。そして、仕事や勉強のための読書は極力除くというルールでやっている。
今年もたくさんの本を買って、読んだ年だった。十数年使った本棚を友人にゆずり、新しい本棚を2つ買った。書斎がすごい勢いで快適になった年だった。
さっそくいってみよう。
今年の10冊!
1位 カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生 (渋谷直角 扶桑社)
2位 ユーミンの罪(酒井順子 講談社)
3位 「あいつらは自分たちとは違う」という病(後藤和智 日本図書センター)
4位 統合失調症がやってきた(松本ハウス イースト・プレス)
5位 夜の経済学(飯田泰之 荻上チキ 扶桑社)
6位 日本で働くのは本当に損なのか(海老原嗣生 扶桑社)
7位 若者と労働(濱口桂一郎 中央公論新社)
8位 職業、ブックライター(上阪徹 講談社)
9位 ROCKOMANGA!(喜国雅彦 リットーミュージック)
10位 1995年(速水健朗 筑摩書房)
・・・漫画は入れないという主義だったのだけど、1位と9位については選ばざるを得ない。書籍として、完成度が高いからだ。
雇用・労働ものは選ばないつもりだったけど、えびさんと濱口先生の最新作は選ばざるを得ない。中澤二朗さんの本も選びたかったが、10冊なので。
アゴラでレビューを書いたけど、書籍として最高。深い。芸が細かい。
この本もたまらなかった。おかげで、ユーミンのオリジナル・アルバムをコンプリートしようなんていうことを始めており。もうすぐ揃う。もちろん、ユーミンも酒井順子さんも嫌いな人からは嫌われる存在なのだろうけど。この本は、読み物として面白いな、と。
これもアゴラでレビュー書いたな。
3位のこの本は労作。よくやったな、という。「意味のある仕事」だと思う。
この本は、タレント本ではない。貴重な闘病記である。特に、愛する仲間が倒れたとき、どうするかという、パートナーの視点が秀逸。
対談する機会まで頂いた。感謝。
5位のこの本は、ジェラシーを感じる1冊。常識の手放し方、対象との距離の取り方、検証が絶妙。面白い読み物ということと、ちゃんとデータ、ファクトをもとに論じるということのバランスがいい感じ。
エビさんのこの本は、もっと注目されていいと思う。いわゆる欧米型と日本型のうそ本当を丁寧に整理している。今年も雇用・労働の論点は、時にずれ、時に炎上していたけれど、議論の出発点として大事。
濱口桂一郎先生のこの本は、エビさんの本とセットで読みたい。「入社」というキーワードは秀逸。これもまた、事実を丁寧にまとめた本であり、議論の出発点というか前提としておさえておきたい。
こういう、「そもそも論」を書いた本が出て、評価されたのは良いことだと思う。
上阪徹さんのこの本は、読んでいて、ただただ圧倒された。プロ魂を感じる本。自分は全然、書けていなかったんだと猛反省したり。
来年は車移動を増やすぞ(そこか!)。
いつか上阪徹さんと仕事できる日がきたら、いいなぁ。
今年は憧れの喜国雅彦さんとお会いすることができたのだ。公開対談も実現。涙が出る。
大好きな連載が待望の書籍化。
しかし、単なる連載まとめではない。
ちゃんと年ごとのまとめがあったり、インタビューがあったり。いちいち豪華。
で、彼が選ぶおすすめアルバムがいちいち、いい。
速水健朗さんのこの本は、記憶の嘘にせまっていて、1995年という年に常識をうまく手放して振り返っていて、面白い。震災、オウム事件を最後に持っていっているまとめ方、いいかも。最新作は妻が読んでいたので、やっとこれから読む。面白いんだろうな。
他にも良著はいっぱいだし、古い学術書を読みあさった年だったのだけど。
来年も良い出会いがありますように。
個人的に、自分の本では、どれも忙しいなか頑張ったのだけど、特に思い入れが強いのはこれかな。
あと、これは徹頭徹尾、やっていて楽しい本だった。その楽しい雰囲気がうまくつまっているのではないかなと思っている。同世代の強敵(とも)たちから学ばせてもらった。
来年も良い本との出会いがありますように。
そして、来年こそは、時代を動かす本を、書くのだ。