eyes0998

何気に毎年発表している、今年の10冊。
今年も発表することにしよう。


対象は今年出た本の中で、私が読んだ本である。


完全に主観であり、趣味としての読書である。なんだかんだいって、雇用ネタ、若者論が多いのだけど。でも、上位に入ったのはまったく趣味の本だ。「うわー、面白い」「うわー、凄い」「良いこと言ってる!」「わかるわぁ」「やられた・・・」と思った基準で選んでいる。世の中への影響度で言うと実は3位以下の本の方が大きいと思うのだが、あくまでそんな基準だということをご理解頂きたい。


他にも読んだ本、評価の高い本はたくさんあるのだけど。そして、話題になった本でもまだ読めていない本はいっぱいある。『リトル・ピープルの時代』(宇野常寛 幻冬舎)、『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル 』(東浩紀 講談社)とかね。「なんで、この本が入ってないの?」っていう意見はあるだろうけど、そういう選び方だとご理解頂きたい。


順位はあくまで感覚的なのだけど、ちゃんとつけることにする。





じゃーん。






2011年 私の10冊
1位 ラーメンと愛国(速水健朗 講談社現代新書)
2位 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(増田俊也 新潮社)
3位 絶望の国の幸福な若者たち(古市憲寿 講談社)
4位 ナショナリズムは悪なのか(萱野稔人 NHK出版新書)
5位 上野先生、勝手に死なれちゃ困ります(上野千鶴子 古市憲寿)
6位 日本の雇用と労働法(濱口桂一郎 日経文庫)
7位 日本人はどのように仕事をしてきたか(中公新書ラクレ)
8位 ブラック企業に負けない(今野晴貴 川村遼平 NPO法人POSSE 旬報社)
9位 日本人事 NIPPON JINJI~人事のプロから働く人たちへ。時代を生き抜くメッセージ~(労務行政研究所編 取材・文 斎藤智文/溝上憲文)
10位 原発報道とメディア(武田徹 講談社現代新書)


どう?上位はかなり趣味の本でしょ?

ラーメンと愛国 (講談社現代新書)
ラーメンと愛国 (講談社現代新書)
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1位のこの本は、私に読書(そして執筆)の面白さ、快楽を改めて教えてくれた本。「面白い・・・深いわぁ・・・」という感じ。ラーメンやその時代に関するウンチクだけでなく、それを時代の空気と結びつけて読み解くところなどは、流石という感じ。驚きの史実もいっぱい・・・。10代半ばの頃によく読んだ、別冊宝島なんかのノリをちょっと感じたり。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
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2位のこの本は、とにかく「圧巻」。約700ページが2段組という凄まじいボリューム。しかし、それ以上に取材量に圧倒される。渾身のルポルタージュであり、昭和史でもある。格闘技ファン以外でも楽しめる、傑作。

絶望の国の幸福な若者たち
絶望の国の幸福な若者たち
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3位はこれ。時代を動かした本だと思う。間違いなく、一石を投じた本だと言えるだろう。もちろん、主張や、その論拠や、表現手法などに関しては賛否両論、好き嫌いはあるだろう。本質とは違うところで、評価が分かれているようにも思う。ある意味、20代の立場で世の中を読み解き、論点を提示しているように思う。ゆるい空気感も含めて、新時代を表現した本だと言える。2012年もこの本と、古市憲寿氏を起点として議論が起こっていくことだろう。

新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書 361)
新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書 361)
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4位はこれ。萱野稔人先生はますます神がかっている。グローバル化、格差社会化、世代間格差とナショナリズムはどう関連するのかしないのか。現代思想の教科書としても良著である。本書の題名にある「ナショナリズムは悪なのか?」は現代を読み解くうえでタブー視したくない論点である。

上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)
上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)
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5位はこれ。いや、本当に順位をどうするか迷った。もっと上の順位でもいい本ではないかと思ったりもする。女性論客、いや女性をこえて今や無敵状態の、しかも数々のリアル炎上論争を巻き起こしてきた最強上野千鶴子と、気鋭の若手社会学者古市憲寿の対談が面白くないわけがない。互いの視点、醸しだす空気が面白い。いや、実に飄々と私達が直面する問題について語り合っている。議論のキッカケになる本。親子で読むといいと思う。

日本の雇用と労働法 (日経文庫)
日本の雇用と労働法 (日経文庫)
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6位はこれ。タイトル通りに(いや、以上に)、日本の雇用と労働法がよく分かる本。雇用ネタは、ネット上でも炎上するテーマに入る。基本がふっとんで感情的に論じられることが背景にあるだろう。いつも感情的に論じられがちなこのテーマを丁寧に解説した画期的な入門書。誠意が伝わる文体、実に丁寧な作り込みがいちいち気持ちいい。判例などを紹介したコラムも面白い。

日本人はどのように仕事をしてきたか (中公新書ラクレ)
日本人はどのように仕事をしてきたか (中公新書ラクレ)
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7位は今年の海老原本の中で意外にも圧倒的な面白さだった。「意外にも」とお伝えしたのは、元々の原稿は愛読している連載だからだ。しかし、単なる連載まとめ本ではない厚み、重みがこの本にはある。このように連載を時系列で、しかも絶対に読むべき良著が並んでいると、タイトル通り、日本人の働き方が立体的に理解できるわけだ。日本最弱論が指摘される今日この頃だけど、日本人がこれからもずっと大切にするべきポイントがよく分かったり。

ブラック企業に負けない
ブラック企業に負けない
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8位は魂を感じる力作。涙が出る。ブラック企業問題に誠心誠意で向き合い、戦ってきたPOSSEさんだからこそ書けた傑作だと思う。読み物として面白いブラック企業本は他にもたくさんあるが、実際、ブラック企業に遭遇してしまったらどうするかの各論のアドバイスが秀逸。精神論を書いた本はたくさんあるが、このような各論の実務書こそ魂を感じるものだ。POSSEに収録されていた濱口桂一郎氏と萱野稔人氏の対談が収録されていたらなあとも思ったが、それは贅沢かな。

日本人事 NIPPON JINJI~人事のプロから働く人たちへ。時代を生き抜くメッセージ~
日本人事 NIPPON JINJI~人事のプロから働く人たちへ。時代を生き抜くメッセージ~
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9位は順位をどうするか迷った本。もっと上でもいいかなと思ったりも。人事版プロジェクトXのような、プロ論のような。人事担当者(経験者)の大御所が、自分の取り組んできた仕事に語る本。私は、いつも人事部長などのインタビューは疑うようにしている。というのも、人事は話せないことだらけであり、かなりぶっちゃけ話のように見えても、かなりのセーフゾーンの話だったりするからだ。ただ、この本は彼ら彼女たちの武勇伝にスポットを当て、組織と人事、そして働き方についてヒントを与えてくれる本である。私の専門は新卒採用だし、世の中で話題になるのは「入り口と出口」に関することが多いように思うが、人事制度をどうするか、労組とどう向きあうかなど、泥臭い話はいっぱいあるのだな。重みのある一冊。溝上憲文さん、素敵だなぁ。

原発報道とメディア (講談社現代新書)
原発報道とメディア (講談社現代新書)
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10位はこれ。原発事故という究極的自体を前に、ジャーナリズムやメディアのあり方を論じた本。どのように事実と向き合うか、考えた。

他にも良著は多数あったが、あえて選ぶならこんな感じ。
あくまで読者視点で選んでみたのだ。
でも、ここで登場した著者たちの多くは間違いなく、来年以降の世論を動かしていくことだろう(いや、既にそうなっているのだけど)。


来年は「さぁ、これからどうしよう、ぶっちゃけたところ、本音で」という本が増えるんじゃないかなぁ。あと、ルポルタージュの大作が増えたりして。電子書籍もそろそろ次の展開が問われたりして。

私も世の中にドロップキックすべく、頑張りますかね。
大作構想中。
乞うご期待。

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