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昨日の、茂木健一郎氏の新卒一括採用批判に関するエントリーは好評だった。

ある方からTwitterでこんなコメントをもらった。彼は公人ではないので、IDの部分をとって、該当コメント部分を抜粋することにする。やりとりの中でのコメントなので、飛び飛びになっていることをご了承頂きたい。

常見陽平さんは何が一番の主張かがわかりづらい!茂木健一郎の方がクリアーかつ影響力も強し!

厳密な正しさよりも影響力の方が大事と思っています

でしゃばってすいません!茂木の主張は学者っぽいし理想論すぎると僕も思います。とはいえ、です。

常見ブログは就活生しか見ないかもしれない。けど、茂木ブログなら主婦子供、お年寄りも見るかも!彼のコメントの方が「付加価値」が高いと思います。

なるほど。私のエントリーが分かりにくかったというご批判は受け入れることにしよう。そして、影響力ないんだと再認識した次第である。…著者のパーティーとかいくと本当、存在感ないしね。まぁ、そんなことは本人が一番よく分かっているのだが。

逆に「影響力」の怖さとはこういうことかと思ったのだ。

私が危惧しているのは「影響力」のある人が「間違った認識」を広げることなのである。いや、彼が問題意識があることは明らかだし、知識人が吠えることは考えるキッカケとして有益なのだけど。ただ、このような感情的な新卒一括採用批判をしても、若者はますます救われないのではないかと思うのだ。

もちろん、私だって「間違った認識」をしている可能性はある。

なので、ちゃんとツッコミを入れあうことが大切だと思ったのだ。

別に人格否定をしているわけではない。彼の意見に疑問を持っているわけであって、彼の人格が嫌いなわけではない。日本人は意見と人格を同一視しがちだから、いつまでも議論はできないわけだ。



私が言いたい本題はここからだ。
ソーシャルメディア時代の「影響力」とは何だろうか?ということである。



「影響力」



常見ブログは就活生しか見ないかもしれない。けど、茂木ブログなら主婦子供、お年寄りも見るかも!彼のコメントの方が「付加価値」が高いと思います。

という彼のコメントは、はっきり言って感情的には不愉快なのだが、「影響力」とはそういうことかと物語っているかもしれない。

フォローすると、私のブログは就活生以外の方がむしろ読んでいる人が多いようなのだが。企業や大学に訪問するたびに「ブログ読んでいますよ」と言われてびっくりしたりする。初期は1日20人、友人にアクセスしてもらい感激していたのだが。さるさる日記時代から地道に続けてきた。


ソーシャルメディア時代は個人の可能性を引き出す時代だと美化されている。無名でも影響力のある個人をブレイクさせる可能性はある。ただ、本当だろうか?


結局のところ、ブログのアクセス数にしろ、Twitterのフォロワー数にしろ、「もともとリアルな世界で有名な人」と「もともとネットの世界で有名な人」が上位にきていることは明らかだろう。

ホリエモンにしろ、勝間和代さんにしろ、そうなのだ。まぁ、ホリエモンの場合はマスメディアの批判的な論調とは違って、こんなに支持者がいることが可視化されたわけだけど。

ビートたけしがTwitterを始めたら、たちまちフォロワー数はスゴイことになるだろう。

芸能人ブログはまさに「カルボナーラ食べちゃったぞ!」「ミスドの新メニュー、美味しいです!」みたいなエントリーばかりなのだが、アクセス数は絶大なワケだ。



ただし、やや夢想的かもしれないが、そこを逆転できる発想はあると思う。影響力の分解によって考えてみる。


影響力=影響「量」×影響「質」
だと思うのだ。言葉としては正しくないかもしれないし、さらに分解できるわけだけど。


前者の部分は元々の知名度などがモノを言う。ただ、後者は良いアウトプットをする人でも勝負できる部分なんではないかと思う。それが影響「量」を増やし、影響力が高まるという構造はあるのじゃないかな、と。

実際、エッジが立っているブログというのは、運営者が無名でもアクセス数はあるし、影響力があるわけだ。

そして、Twitterでは、それを影響「量」のある人が取り上げることによって、拡散、拡大する可能性は秘めている。


もっとも、芸能人が「カルボナーラ食べちゃったぞ!」というのはそれなりに注目すべき事実だが、一般人の「カルボナーラ食べちゃったぞ!」というのは友人・知人にしか価値がない情報なのだが。いや、それも「激安」とか「激盛り」を発見したら価値があるわけで、影響力が生まれるかもなのだけど。


それなりに秀逸でないと、影響力は生まれないわけだ。


民間人(ガンダム風)が誰でも影響力を持てるわけではない。内容においても、表現においても何か優れたポイントがなければいけない。その人なりの強みがないと厳しい。


民間人でも影響力を持つためのポイントは…
1.みんなの「それが知りたかった!」に答えていること。
→別に高尚な話でなくて構わない。それこそ、「お小遣いはいくらもらっているのか?」「あのラーメン屋は本当に美味いのか?」「社会人は月に何回SEXする時間があるのか?」とか。

2.根拠、証拠が明確であること
→独自のデータ、ファクト、あるいはこれらが独自ではなくても、分析する視点が独自であることなど。まぁ、難しいこと言っているようで、例えば「これが証拠だ!」という写真が載っているだけでもOK。

3.その記事のコンセプトが明確であること
→根底にあるコンセプトを一言で言えること。まぁ、これが難しいのだけど。コピーとコンセプトは違うからね、当たり前だけど。

4.タイトルにインパクトがあること
→この辺は、ヤフートピックスや、アメーバニュース、夕刊紙、下世話な週刊誌が参考になる、マジで。

5.ウェブ受けするテーマであること
→ここは中川淳一郎さんの本を参照のこと。ウェブでは「ガリガリ君」とか「納豆」とか意外にウケるんだよね。

6.見やすく、読みやすいこと
→Twitterにしろ、ブログにしろこれ、大事。特に改行がポイントかも。

7.最初からクライマックスであること
→結論のあるインパクトが最初にきているといいかも。クリックしてもらう、読んでもらうのは意外と大変。

8.タイミングが良いこと
→これはウェブに限らず大事。もっとも、ちょっとタイミングがズレても、そのニュースは注目を集めているので、深さがある関連情報は注目されるのだけど。

9.その人ならではの情報であること
→自分の独自性、優位性は何かを考えてみる。その際、仮に2.5流くらいのレベルだとしても、分野やプロフィールの掛け算をするとナンバーワン、オンリーワンになれるかも。先日、セミナーにご協力頂いたマグロ船齊藤正明さんは、「自分の場合、ビジネス書×マグロ船です」と語っていた。

10.読者を想定していること
→誰にでもウケてもらいたいと思うと、誰にも受けないものになる。もちろん、影響「量」のあるサイトや個人なら別なのだけど。誰に最も伝えたいかを考える。

こんな感じかな?

今日も話が拡散してしまった。


私はぶっちゃけ傑作、ベストセラーを書きたいなとは思うし、世の中が多様化するために自分の声がもっと届けばいいなと思うのだが、影響力を膨張させたくないんだな。ただ、影響「質」はちゃんと考えたいな。あと、誰の味方であるかもね。


朝からソーシャルメディア時代の影響力について考えたのだった。
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