就活格差就活格差
著者:常見 陽平
販売元:中経出版
発売日:2009-07-18
おすすめ度:4.5
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そろそろくるかなと思っていたが、リクルートから第27回 ワークス大卒求人倍率調査(2011年卒)が発表された。が発表された。

2010年度の倍率1.62倍に対して、1.28倍。
前年比19.8%減となった。
昨年度の1.62倍は売り手市場の水準だが、1.28倍は見た目の数字では氷河期並みである。

ただし、ご安心頂きたい。実はこの1.28倍という数字は昨年度の追跡調査の数字と比較すると「微減」〜「横ばい」くらいの数字なのだ。

大卒求人倍率調査は2月中旬から3月上旬にかけて行われる。決算がしまるタイミングよりも前なので、調査したデータよりも下方修正される可能性がある。実際、昨年は実態よりも高い数字になってしまった。

リクルートがその後、行った追跡調査の結果は1.35倍だった。この数字は一部のマスコミには開示され、実際、3月4日放送のNHKおはよう日本では、2010年度の大卒求人倍率は1.35倍だったと報じられたし、大学などにお邪魔していてもキャリア指導関係者の多くはこの数字を知っている。

まぁ、もちろん定点観測しているデータなので、1.62倍と1.28倍で比較するべきではあるのだが、追跡調査と比較すると「微減」〜「横ばい」の数字だと言える。

今回の調査や、日経が行った調査でも感じられたが、大手企業を中心に新卒採用が回復する傾向は感じられる。企業にお邪魔しても、昨年よりも採る企業や横ばいの企業とよく遭遇する。

一方、では就活が楽になるかというと、一概には言えない。採用基準は明確に上がっている。また、各社にヒアリングしたところ、申し訳ないが今年の就活生の評価は決して高くない(前提として、採用した学生ではなく、受けている学生全体に対する評価である)。危機感、焦燥感から行動が雑になっている学生をよく見聞きする。考えや行動の質に対して疑問を持つ声をよく聞く。面接の遅刻や無断欠席も相次いでいるという。学生を面談していても、内定がたくさん出る層と、そうではない層の「就活格差」はますます広がっていると感じる。

昨日の打ち合わせや講演でも話題になったが、特に企業選びにおいて大手や人気企業を「好き」「憧れ」というだけで選び、苦戦しているケースを特に今年は見聞きする。「好き」な企業よりも「合っている」職場に目覚めると就活は劇的に変わる。

一方、企業の側も、単にバーを上げるだけでなく、よいところを見つける努力、育てる意思を持ちたいところである。そして、新卒採用にはもちろん会社の業績が影響する部分もあるが、今後の展開のために今の時期に意思を持って採用することを期待したい(やや感情論であるが)。

最近、よく「ゆとり第一世代の問題点」についての取材依頼を受けるが、実は「ゆとり」なのは人事であり、各部署の管理職なのではないかと思う瞬間はよくある。

なお、新卒採用をめぐる最新事情と提言は6月発売の『中央公論』で熱く、激しく発表する予定なのでお楽しみに。

まだまだ書きたいが今日はこの辺で。

なお、学生や親からの相談、面談依頼は引き続き受付中。お気軽にお声がけ頂きたい。
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